世界の斜陽から

旅ブロ ADHD 元売人 時々四つん這い be動詞と出会った24の夏 自転車 船 鉄道 飛行機 野営 なんでも可 終わりなき道程と 果てしなき世界の歪(ひず)みに 斜めに映る この眼差しから思いを込めて

インド 〜南インド・エルナクラムの中心から〜

エルナクラムに近づくにつれ、道路にも車が溢れ出してきていた 深夜の2時を過ぎたとゆうのに 建設中の高速道路の高架下には僕らを乗せた車を始めとし 2車線に跨り渋滞が続いていて

運転席に座っていたジャシッドの父親はエルナクラムまでの道を 10回以上も 横に立ち止まった車や工事現場のスタッフに尋ねていた きっと タクシードライバーとしてのポリシーよりも父親としてのプライドが、息子に強請られ僕を車に乗せた時から それが高鳴りとなり 息子が初めての異国人と相対する瞬間を どう取り仕切るかといった視線を 父に向けていて この場と共に如何にやり過ごすかとゆう衝動にひたすら 追われていたのだと思う。

車内では 僕が求めていないにもかかわらず 窪みと容器の内側と外側に幾つもの 汚れが付着した ペットボトルに入った水が 差し出された 喉に残る生温さと 不条理なまでの湿度とホスピタリティがネオンを横切る車窓から いつまでも 顔を覗かせている気がした

大きな陸橋に差し掛かった時のことだ 今では北米方面でも展開を広げている、日本が誇る大手自動車会社の代理店が見えていた その当時、僕は該当する関連会社で日本を離れる直前まで 間接雇用されていたので その旨をジャシッドに伝えたら、彼は大層嬉しそうにしていた

それは僕とゆう人間の価値観を 彼と撚り合せることを試みるよりも短絡的で 経済成長を繰り返すこれからのインドと触れるためには 僕が持ち得れる手土産の中では 悔しくも最良のものだと確信した。