モンゴル 〜 蒼き原野の果て・chap. 1 〜
目を覚まし、あたりを見渡すと車窓の結露の隙間から草原が広がっていた 北京から夜行バスに乗り、昼夜をまたぎ中蒙の国境にある街、二連浩特(エレンホト)に着いたのは朝の6時前
乗客の6割ほどはモンゴル人だったらしく、どうりで車内には、中蒙関係の軋轢から染み出た褐色めいたフラストレーションの断片のようなものが所々で、弾けては消えるのが見受けられた
中国側の二連浩特(エレンホト)から、モンゴル側のザミンウードまではジープタクシーを使うのが越境者の常道とは聞いていた。 ただ、問題は運転手との料金交渉であり、 事前に料金を確認したにも関わらず、中国側のパスポートチェックを抜けて、両国の緩衝地帯に差し掛かると繰り広げられる、賃上げストはモンゴルを目指す旅行者の、口開けの手土産として、旅行者の間では語り草になっていた。
タクシー乗り場の縁石に座り、僕がドライバーの周到な吟味をしていると、 大風呂敷を携えた、他人に疑いの目を向ける事とは縁が無さそうな、福々しいご婦人が私の横に座り、携帯を充がってくるのであった
〜 chapter. 2 〜 へ続きます