アメリカ 〜サンディエゴ夜襲編〜
カンクンに別れを告げて 最終日に降り立つ予定であるサンディエゴに飛んだ 大国のアメリカをトランジットによる僅か十数時間の滞在で語るなんてのは、あの国のスケールをこの島国から見上げてきた、向こう見ずな気質と共鳴する節が文節を伝い、読み取れるのではなかろうかと思い、したためてみる
空港からその日使える金額の12$をポケットにしまい、ダウンタウンと書かれた大きな看板をくぐり、西海岸フュージョンのアルバムアートワークでも、割と背表紙に描かれていそうな 高層ビル群を目指す
ハーバーを伝いながら、その先に見える日の入りと相まるサンディエゴの海岸線から街並みへは 幼少期に観た摩天楼やマンハッタンからは似つかわしくない 儚さがあり ラッシュアワーも重なってか、ここに住む人達から出る生活の匂いが立ち込めていた
テトラポットから身体を投げ出し 竿を垂らしているおじいさんに 獲物がかかり 行く末を見守ることなく 脇を通り過ぎていき プアボーイ風の黒人二人組みが ベンチに腰を下ろしていて 僕に笑顔で合図を送る
そんな光景らが これまで培われてきた強欲で横柄なイメージで凝り固めていたアメリカに 歩を進めながら歩み寄り、僕の強張っていた表情や気構えをときほぐしていく
サンディエゴ往々編に続く