世界の斜陽から

旅ブロ ADHD 元売人 時々四つん這い be動詞と出会った24の夏 自転車 船 鉄道 飛行機 野営 なんでも可 終わりなき道程と 果てしなき世界の歪(ひず)みに 斜めに映る この眼差しから思いを込めて

インド 〜南インド・エルナクラムに向かう道から〜

声をかける直前には、物々しい異変に気付いていたのだが瞬時に好奇心が割って入り 振り向きざまに僕の肩に手を掛けたように思えた

その異変とはフロントとリアを除いた、全ての窓ガラスが (恐らくであるが)外されていたことなんかではなく 誰がこのシュチュエーションに身を置いたとしても ”先客”と判断されるべき方々が車内に見受けられたのだ

僕はてっきり 予めルートが決められている 東南アジアでは良く見かける 乗り合いを主とした白タクかと思って、即座に聞いてみた

「エルナクラムまで行きたいんだけど、これは行かないよねぇ?」

何せ 時計の針は深夜の1時を回ろうかとゆうところだ 確率から見て、40数kmも離れたエルナクラムまで助手席に乗った小柄な中年と 前のシートに比べれば 幾分ネオンの灯りが行き届かないが 老いを感じさせない姿勢を保ちながら 前のめりでシートに腰掛けていた 10代であろう青年とが エルナクラムを目的地に据えていては 何か裏があるに違いないからだ

僕が名詞を全面に押し出した なまら英語を喋りおえると 少しの沈黙が横切り 車内の3人の関係性が公となる事態が訪れる

*・・・ここからは間違いでなければヒンドゥー語を話していた彼らのニュアンスから 限りなく筆者が汲み取り、要約したものを掲載しています

青年「ねえ、パパ! この人外国人だよっ だって英語を話してるし あと、さっきからエルナクラムに行きたいって言ってる」

運転席の中年「ああ、そうだな。ジャシッド断りなさい」

青年「なんでパパ!? 乗せていってあげようよ 外国人が僕達の車に乗るなんて初めてじゃないか?」

この会話を前にした時ほど、自らが異国から足を踏み入れたのだと実感したのは 未だかってないかと思えるほど あの青年”ジャシッド”の眼の輝きは印象的であった

同時に、この場所では僕の日常の延長を辿るよりも 彼らの眼の前に突如として現れた僕の存在こそが 非日常であると 僕だったりに認識させるべきであり 何かと面倒ではないのだとも思えた

歳が15になるジャシッドは 父親だけでなく 助手席に座る中年にも一生懸命に説得をしていた

*・・・尚、後々の会話でこの中年は彼等と同居をしている叔父さんだと発覚した

この土地でこの言葉に代わるものが在るかは別として 一先ずジャシッドの”手解き”により エルナクラムまでのロードクルーズが催行されることになる

ジャシッドの隣に案内されるや否や 先ほどまで僕を乗せることに敬遠気味であった父親が何かを渡してきた それは僕らの経済社会で使われる言葉を借りるならば 業務用だとかお徳用なんて呼ばれ方をしていて 本来ならうず高く 詰め込まれているはずの 耳が付いたサンドイッチ用の食パンであったのだが 僕の手元に渡された時には 残り4〜5枚を数える程度になっていた

彼等の心許ない夜食を目の当たりにし 車に乗り込んだタイミングを呪う以前に 開かれた好意と類い稀なジャシッドの好奇心に 平伏した僕は 込み上げてきたものを噛み潰すように それを貪った

それは旅の初日を飾る僕なりの気概やパフォーマンスを自らに見せつけるだけでなく 彼等の眼差しから見える 僕との距離関を縮める為でもあったのだ

インド 〜南インド・エルナクラムの中心から〜に続く

インド 〜南インド・コーチン空港から〜

クアラルンプールを発ったコーチン行きエアアジアXXX便は乱気流に揉まれていた
その激しさはたまたま隣に居合わせた
群馬の自動車部品工場で出稼ぎをしていたため流暢な日本語が話せ
乱気流に遭遇する前から乱心気味であった僕への気遣いを欠かさないでいてくれた彼でさえも閉口するものであった

第二、第三の都市部から外れた一地方空港に過ぎないコーチンに着いたのは夜十二時を過ぎた頃だった
空港玄関を出ても敷地内にパブリックタクシーのデスクは無く
仕方なく重厚な熱帯夜の下
約40km離れた州都 ”エルナクラム” に向かうタクシーを拾うべく空港を後にした

フラミンゴか九官鳥だかのネオンライトを纏ったビルボードがある
怪しげなナイトクラブの脇道に
捉えにくいリズムに合わせて
ポツリ、ポツリとタクシーが止まっては客を乗せているのが遠巻きから見えた

しかしよく見れば
立ち止まるタクシーの中には客を乗せないまま出発してしまうものもいて
時間帯も考慮をすれば
旅をする上で身に付けた勘とゆうものを
頼る以前に
この目の前を行き交うドライバー達の法則が何を意味するのかを
ネオンライトから少し離れたところで模索していた

そんな矢先
先ほどまで止まっていた
イエローキャブ風の風体からはかけ離れた
日本で例えるなら軽のバンを更に縮小化したような車がやってきた
物珍しさも手伝ってか、僕は冷やかし半分でドライバーに声をかけてみた

インド 〜南インド・エルナクラムに向かう道から〜 に続く

インド 〜南インド・旅の始まり〜

3年前の夏
当時やりかけていた
事業とは、名ばかりのプロジェクトを放り投げ
決して飽きていた訳ではなかった仕事を辞めた

そんな折に
人生観を変えてくれると太鼓判を押されフラッと出向いて流れていたインド夜想曲をゆらゆらと...

ケーララ州の識字率は国内でもトップを誇るらしいと
そんな事前情報が
ヴァラナースィやデリーから沸き立つ喧騒を心なしか和らげているのだろうか。
アラビア海に沿って
張り巡らされたリアス式の海岸や折り重なった入江の中に淡水が入り混じることで
生じる無数のデルタ群
ケーララでは乾季の訪れと共に活況を呈する
ボートクルーズなどは

物乞いと法外なマージンを吹っかけたかる客引きや
路側帯だろうとなりふり構わず
排泄をかます 老牛なんかが
インドのイメージとしてあった僕に
情報でさえ少なかったものの
南インドの呼び名で親しまれていた
包括するにも曖昧にならざるを得ない
”その辺り一帯”は人生の辺境と呼ばれるインドが解き放つ
帯同染みたイメージには寄り添わないものであった

南インド 〜コーチン空港・初夜に続く〜

アイスランド 〜準備編・その7〜

モデルルート・3 〜ユーラシアの果てとジブラルタルのパテにグラナダソースをかけて〜

ローマ→飛行機にてポルトガルポルトへ→リスボンジブラルタル海峡を眺めつつコスタ・デル・ソル マラガ→バレンシアを抜けグラナダバルセロナ

僕に女子力があるのなら、お気に入りのぬいぐるみを事あるごとに写りこませて
欲しくも無い雑貨屋さんに出向き、安宿で出会ったカップルの恋バナを読者集めのために書くんだろうが
”ユーラシアの果て”なんぞが
そこに立ちはだかるものならそうはいかないであろう

その場所はポルトガルと呼ばれていて
悠久なる言葉が最も似合う国のひとつであると同時に
この土地を新たな旅の始まりと記することが、後に訪れるマラガや追憶のバレンシア
筆者にとってどう印象付けるのかだけでなく

旅の終わりの回想では
各地を訪れて得た断片的なインスパイアが
因果関係を紐解くにあたり 乱雑で非合理になることなく
至ってスムーズな形で旅程との折り合いを重ねながら
刻み込まれるのではないかとまで想わせてしまう特別な場所のような気がする

それだけこのルートには魅力があり
安宿が豊かなリスボンやなだらかな丘陵地帯に富んでいるバレンシア地方などは、ジブラルタルを臨みながらの
貧乏自転車旅行にはぴったりの土地柄なのだ

ここまで絞られた3ルートに
番外編を加えるのであればアフリカ大陸の正面玄関モロッコはマラケシュからの北上ルートではないだろうか?

イスラム文化に彩られ、由緒ある歴史建造物やアウトスタンディングな小物雑貨
意外に知られていないのがスターウオーズのロケ地などがあったりだ
しかし難点があり、この時期のサハラを甘く見てはいけない
日中は50度近くから夜間帯は20度台まで気温が乱降下し、200km近くも人工物が見当たらない砂漠地帯に囲まれた単線道路を走る羽目になってしまうからだ

念を押して言っておくが
僕はラクダではない 人間であるからして50km先に砂嵐の群像がちらつこうものなら
気力を放り投げ 単線道路のど真ん中に座り込んでしまう自信があるからだ

まあ、今後のルート選定では
無難で、楽しく、無理のないをモットーにしてまいりますので、乞うご期待ませませ

アイスランド 〜準備編・その6〜

よくよく考えてみれば、今夏から予定している旅程をアイスランドの一国だけで括りあげるのは、いささか無理があるような気がしてきた

それと言うのは、まず航空券を手配している日数だけ見てみても7/9〜10/5に加え更に一月を加える予定だし、発着地に関しては7/9の成田ーモスクワーローマまでと、帰着便である10/5のローマーモスクワー成田に付け加えて、8/12出発のバルセロナレイキャビク(アイスランド)までが予約確定分とゆうわけであるからして、
少なく見積もっても4か国間を往来する羽目になる

この旅程を見て眉唾なのはローマに降りてから、バルセロナを発つまでに生じた空白を如何様に満たすかとゆうことだ
これまでのご説明通り、今回は自転車行脚がメインのため飛行機を使用しての移動は最小限にしたいのが本音である

そこで空いている期間を、筆者であるトヨダ氏に有意義に過ごして貰うため、編集部は幾つかのルート案をご用意した
読者の皆様もお手に余裕があるならば、今月号の付録に付いていたタシュレットを手に取り、Gooplemapを開いて、彼が歩むかもしれないルートを一緒に体感しよっぉう!!

モデルルート1 〜ローマ発ドロミティと南フランスに夏真っ盛りのピレネー越えを添えて〜

ローマ→ボローニャヴェネツィア→ドロミティ街道→ミラン→南フランス(プロヴァンスコートダジュール)→ピレネー越え→バルセロナ

おそらくローマからバルセロナを目指していく上では、立ち寄る場所に若干の違いがあれどこれが最もポピュラーなルートになる筈だ
ポイントはやはり、トレッカーの憧れでもあるドロミティ

ジロ・デ・イタリアでも使用されている往年のサイクリングコースは絶景の一言に尽きる
盛夏の南フランスも素晴らしい
正直、情報を仕入れる前は”コートダジュール”を三下のファッションブランドかなんかだと勘違いしていたらしい筆者だが、保養地としてだけでなく牧歌的なプロヴァンスは、旅路を急ぐ者に優しく問いかけるだろう

モデルルート2 〜ゴッドファーザーゆかりの地とチュニジアの夜を重ねて〜

ローマ→ナポリ→南イタリアが育んだ、手荷物規定に引っかからないのであれば持ち帰りたくなる美しい村々→シチリア島→フェリーを経由してチュニジアシチリアに戻りフェリーか飛行機でバルセロナ

アフリカの玄関口であるモロッコが陽ならば、難民達への不当な扱いが話題になっている闇航行業者が巣食うチュニジアは、同じ地中海を経由してとて、さしずめ陰といったところか。
悟空よりもヤジロベー派な筆者には、そんなチュニジアが、妖しげな光を放つ地中海のブラックダイヤモンドに見えてくるのだ。
....う〜ん 魅力!

道中のシチリア島は御存知の方も多いかと思うが、あの名画「ゴッドファーザー PART Ⅰ」において主人公(←この呼称はあの映画に失礼)であるアルパチーノ扮するマイケルが北米所払いに遭い身をかわしていた場所に当る
衛兵を従えそぞろ歩いたあの坂や、一抹の浮世を共にしたあの町娘が最後に至るまでの思い出のスポットを巡るために、足を止めるのも悪く無かろう

アイスランド準備編・その7に続く

ミャンマー 〜ヤンゴン市内の交差点から pt2〜

銘柄は覚えていないが、強い酒を飲みながら眺めるパフォーマンスは最高に退屈だった
両側に並べられた80年代のマフィア映画に出てくるような深掛けで楕円形をしていたソファには、カウンターに座る日系人らを見下ろすような形で、”然るべき彼女達”が座っていた

あの我々を罵冷するような眼差しは、これから高みを迎える男女の駆け引きの一辺を担っているとは思えない
それにも増して僕が席に座ってからも、
ラウンドを終えてシャワー前の一杯を軽く流し込みに来たかの、
涼しい出で立ちで入店してくる、日系人らが後を絶たないのである

その光景は正に新鮮であった
ただ、これまで味わいを噛み締めてきた類の新鮮味である
日系人が集う安宿であったり、旅人同士が旅程を共にするなどの
明け透けでいて、公であるとも言える
所謂スタンダードな旅情を踏まえての風味や後味などを伴うものではなかった

あまりにも”あの交差点”からソウテンをピックアップして此処に辿り着くまでの道すがらに
目に映り込んだ景色とショーホールとのギャップは
僕の明らさまな戸惑いとなり
ご多分にショーガールのみならず隣席に腰掛けられた御同輩の方々にも見透かされていたことだろうと今になって振り返る

一興に及ぶ前に文字通り興醒めしてしまった僕は、ホテルを出てあの交差点まで戻ることにした
声をかけた自転車タクシーの運転手は、潮が吹き黄ばんだTシャツの背中を見せつけるかのように、ペダルを漕ぎだした

ここから交差点までの数キロが日本円でたかだか100円程度のものでいて
”あの交差点”を発った瞬間には、まだ見えていた曇りなきヤンゴンを、僕は買い戻そうとしていた
一角に立ち帰り、この場所で取り巻いていた人だかりの名残を拾い集めるように周りを見渡してみる

足元についた埃を払い、宵が進んだそらを眺めているとつくづく多くの物を失ったと...
後悔の念が込み上げてきたのだ
だってそれは
僕が連れ歩いて我儘な立ち位置に位置付けていた
あの途上国ミャンマーを自らの欲望が行く末に染め上げてしまったのだから

アイスランド 〜準備編・その5〜

アイスランドの見所 =askja=

この地球上で最も月に近い場所は何処か?
69年にアポロ11号が打ち上げられる2年ほど前、アームストロング船長を要する乗組員等はNASAによる月面着陸想定訓練のため、アイスランド中南部アスキャ火山に派遣された

一周間晴れ間が続くのも珍しいアイスランド
写真はaskja山

個人がアクセスするには通常のオフロード車でも厳しいため、車高を引き上げたメルセデスのバスに乗り換えるなど移動方法までも限られてくるし、日帰りのビジターツアーが3万円代と高額ではあるが、これほどまでの絶景が用意されていればこのような条件も頷ける

ハイランドと呼ばれる広大なステップ地帯は人の居住でさえも許されない

ミネラルが豊富で粘土質なクレーターに出来た天然温泉
湯温は25〜6℃くらい
ロンリープラネットでは世界のベストスイミングエリアと紹介されている

首都であるレイキャビクからは4時間ほどのこの場所にも、これから購入を進める自転車で行く予定です
ただ途中のスタックや深さが1m以上の川の横断などを考えると非常に厳しいものがあるため、
やはり日帰りのツアーに頼らざるを得ないのか
あ〜あ、そんな悩みも尽きないのも旅の醍醐味だわね〜

本編

ここまでのあらすじをざっとおさらいすると
旅先での使用を想定した折り畳み自転車はオフロードに不向きであり、オフロードに特化したTREK社のロードやMTBは費用やその他諸経費がかかり過ぎるため
筆者が独自に考え至った結論は
元々が自転車をバラして持ち運ぶ輪行に適していて
サイドバックが付けれるリアキャリアが標準装備でありロングライドに向いている俗称”ランドナースタイル”の自転車購入を前提に、本日時点では進めている次第であります

また、今後はキャンプ用品の購入などのレポートもアップしていきますので、そちらも併せてお楽しみに