世界の斜陽から

旅ブロ ADHD 元売人 時々四つん這い be動詞と出会った24の夏 自転車 船 鉄道 飛行機 野営 なんでも可 終わりなき道程と 果てしなき世界の歪(ひず)みに 斜めに映る この眼差しから思いを込めて

ミャンマー 〜ヤンゴン市内の交差点から pt2〜

銘柄は覚えていないが、強い酒を飲みながら眺めるパフォーマンスは最高に退屈だった
両側に並べられた80年代のマフィア映画に出てくるような深掛けで楕円形をしていたソファには、カウンターに座る日系人らを見下ろすような形で、”然るべき彼女達”が座っていた

あの我々を罵冷するような眼差しは、これから高みを迎える男女の駆け引きの一辺を担っているとは思えない
それにも増して僕が席に座ってからも、
ラウンドを終えてシャワー前の一杯を軽く流し込みに来たかの、
涼しい出で立ちで入店してくる、日系人らが後を絶たないのである

その光景は正に新鮮であった
ただ、これまで味わいを噛み締めてきた類の新鮮味である
日系人が集う安宿であったり、旅人同士が旅程を共にするなどの
明け透けでいて、公であるとも言える
所謂スタンダードな旅情を踏まえての風味や後味などを伴うものではなかった

あまりにも”あの交差点”からソウテンをピックアップして此処に辿り着くまでの道すがらに
目に映り込んだ景色とショーホールとのギャップは
僕の明らさまな戸惑いとなり
ご多分にショーガールのみならず隣席に腰掛けられた御同輩の方々にも見透かされていたことだろうと今になって振り返る

一興に及ぶ前に文字通り興醒めしてしまった僕は、ホテルを出てあの交差点まで戻ることにした
声をかけた自転車タクシーの運転手は、潮が吹き黄ばんだTシャツの背中を見せつけるかのように、ペダルを漕ぎだした

ここから交差点までの数キロが日本円でたかだか100円程度のものでいて
”あの交差点”を発った瞬間には、まだ見えていた曇りなきヤンゴンを、僕は買い戻そうとしていた
一角に立ち帰り、この場所で取り巻いていた人だかりの名残を拾い集めるように周りを見渡してみる

足元についた埃を払い、宵が進んだそらを眺めているとつくづく多くの物を失ったと...
後悔の念が込み上げてきたのだ
だってそれは
僕が連れ歩いて我儘な立ち位置に位置付けていた
あの途上国ミャンマーを自らの欲望が行く末に染め上げてしまったのだから